大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天橋立
おおえやまいくののみちのとおければまだふみもみずあまのはしだて

天山書画
小式部内侍(こしきぶのないし)の母はかの和泉式部。
年若くして中宮彰子にお仕えし
歌名の誉れ高き母譲り・・・・
抜きん出た才気と美貌とで
宮中のアイドルとなっておりました。
が、この賢き一人娘?は母を残して早世してしまうのです。
数多の恋愛遍歴を辿った母和泉式部がはじめて産んだ子供であり、
我が子に先立たれた母の思いは如何ばかり・・・・
この≪魅惑の百人一首≫で和泉式部を採り上げた時には
まだ発想の段階であり出来てはいませんでしたが、
この春の院展にあわせて【遊魂・和泉式部】が完成。
皆さま、御高覧いただきましてありがとうございました

娘 小式部内侍も是非
いつの日にか描いてみたい存在です。
大江山は山城と丹波の国境、老坂。
いくの、は生野で丹波国天田郡にある野、で
今の福知山あたり。
『和泉式部保昌に俱して丹後国に侍りけるころ、都に歌合のありけるに、小式部内侍よみにとられて侍りけるを、中納言定頼つぼねのかたにまうできて、歌はいかがせさせ給ふ、丹後へ人は遣はしけむや、使はまうでこずや、いかに心もとなくおぼすらむ、などたはぶれて立ちけるを、ひきとどめて詠める』
と、詞書にあり・・・・
生野を行く野に掛けて、上の句は丹後の国府までの道のりの遠さ、を語り・・・・
ふみ は、踏むのふみと文のふみとを見事に掛けてあり、
母和泉式部の居る景勝地など行ったこともないし母からの便りなど来ていませんよ
と・・・間髪を入れず
・・・・言いかえした。
これには中納言定頼ならずともさぞかし驚かされた事でありましょう。
ただただ美しく可愛らしい
まだあどけなさの残る
はちきれんばかりの若さ故にもてはやされている・・・
小娘と思いきや
母上が居ないのに独りで歌合に出れる?
母上に手紙を書いて頼んだかい?
その御返事は来たの?
御母さんが居なくて心細いだろ?
と、からかうと・・・・
その小娘は
中納言定頼の袖を取り、引き止めて
即座にこの和歌を返した!!
宮中はこの話で騒然!
しばらくこの話題でモチキリだったとか。
小式部内侍の聡明さにやんやの喝采が・・・
小式部内侍 15歳くらいのこと
これぞ、既知即妙・・・
天橋立を持ち出して
母親の七光は必要ありません
手紙も来てないし
と言いながらも
母の処にも行ってみたいわ
と、可愛らしさもにじませ
旅情までかきたてる
御見事!あっぱれ!!!!!
直衣の袖を押さえられた定頼のあわてぶりが手に取る様に伝わりますね
が、
美人薄命?
天は才を与えて寿を与え損ねてしまったのか??