ちょうど、源氏物語1000年紀、近づく・・・とかで、源氏人気が再燃しそうな頃、
小林秀雄の講演会の録音テープを聞かせて下さった方がいて、
本居宣長が源氏物語、もののあわれ、を日常的に研究していた・・とある。
当時、漠然と浅い知識でしかなかったけれど
本居宣長と言う立派な人が存在したことは良く知っており、
何となく敬意を抱いていたのですが、・・・・
松坂 本居宣長記念館内に飾られている肖像画
松坂 本居宣長記念館 修復再興された居宅 入口
松坂本居宣長記念館 修復再興された居宅
宣長様は絵も見事!! 描き遺された鶺鴒の作品
もののあわれ、の「あわれ」とは、「あっ あれ!」 の転化であり
「あっ あれ!」 が、「あわれ」に約まった・・・。
で、もののあわれは源氏物語に集約されている。と言ってる。・・・
なるほど!面白そう!!と、さっそく読んでみたのが円地文子訳の源氏物語でした。
これが、 めちゃくちゃ面白かった・・・・
読むうちに自分の想像力が刺激されて、各場面場面が自動的に脳裏に浮かんでくる
絵にしたらさぞ面白いであろうと・・・
こうしたら・・・ああしたら・・
ともかく一番気に入った“蛍”の妖艶なる一場を院展に発表したのが始まりです。
読んですぐに取りかかったので、ずいぶん乱暴で、下調べも何もかも不十分でしたが
描かずにはおれないくらい、魅了されたんです。
源氏物語 蛍 屏風作品です
同、源氏物語 蛍 屏風の部分・・・・玉鬘(たまかずら)の姫君
クリックすると拡大され見易くなります・・・
そもそも私の敬愛してやまない師匠が亡くなる前の年、こう云われた。
高橋君は風景よりも人物画が向いている、今まだ50歳前だから、
あと30年位は打ち込めるだろう・・・
真剣に取り組めば一家を成すくらいな境地へ、
ひょっとすると?行けるかもしれないよ。・・・・
師匠 今野忠一先生は、山岳画家という定評があり、
漏れなく私も重厚で男性的なその画風に魅了されておりましたから、
えーー! オレも先生みたいな雄大な山岳風景を描けるようになりたいのに。・・・
と、思いましたものの・・・・
先生の言われることに間違いがないのは経験でよーく知っていますので、
そんなものか・・・・と人物画に真剣に取り組む心が芽生えた頃でありました。
しかし、人物画と言っても・・・男なんか描くのイヤだし・・・かといって、
携帯電話片手の茶髪娘なんかも描きたくありません・・・・
現実の人物に、興味は持てなかった・・・・
そこへ、源氏物語・・・です。正に、おあつらえむき・・・・
つづく・・・・・