2018年05月29日

センター



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衣紋道高倉流 
仙石宗久氏による
【月替わり十二の十二単】
という現代装束界のビックイベントについて是非述べておきたいと思います

早くも櫻の散り始めた去る3月28日、
明治神宮参集殿に於いて開催されましたこの
【月替わり十二の十二単】
十二単を月毎にコーディネートして、豪華絢爛、
12人の美女に十二通りの装束を着せ、一同に会す、という
めったに見ることが出来ない大イベント!

信頼のおける友人からお誘いを受け
有りがたく鑑賞して参りました。


それはもう、世界ダントツ一位の衣装美を誇る十二単
このところ、ズット院展出品画に欠かせないモチーフとしている私のこととて、
絵の参考にもなるし、大好きだし、綺麗だし・・・美人揃いだし・・・
何も云う事はありませんで、大、大、大満足!


年末の三越での個展を予定している今年は
例年になく忙しく、慌ただしく過ごし、
ブログを書く余裕さえ無く暮らしてしまいましたが、
これは書いて置かねばと、ようやく筆を・・・・




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主催者は、学校法人 国際文化学園、
渋谷の神泉駅のそば、毎年コチラでもイベントが行われ
これまでにも幾度かお邪魔して、楽しませていただいておりましたが、
こんな贅沢な演出は初めてで、見事にショーアップされており
今回の会場が芽吹きの神苑、明治神宮参集殿であり、
明治大帝陛下に御挨拶申し上げた後に
うっとりと半日を過ごしたのであります。
多くの方にも知っていただきたい魅力を満載。
日本衣装美の極み、ここに集う感あり、
まざまざと日本伝統文化の深さを目の当たりにする思いでありました。


★★★


十二単を十二か月に掛け、気軽に楽しめるように配慮されており
仙石先生の解り易い解説を聞きながら、季節ごとの装いが完成されてゆきます。


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十二単の単(ひとえ)というのは、
もともと肌着だった衣(きぬ)。
単(ひとえ)の上にさらに衣を8枚重ねると
【八つ単】(やつひとえ)
10枚で【十単】(とおひとえ)
12枚で【十二単】(じゅうにひとえ)、
・・・・というわけですが、
いわゆる十二単(ひとえ)は
単(ひとえ)、の上に
五衣(いつつぎぬ)
打衣(うちぎぬ)、
表着(うわぎ)、
唐衣(からぎぬ)
を重ね着して・・・・八枚。
12枚ではないのに十二単と総称するのは、
社会通念故の俗称。
言い易いし通りが良いから・・・・・

実際、古い文献などには十二単という言葉は全く出てこない。
平家物語、源平盛衰記、“壇ノ浦の戦いの段”、建礼門院徳子さまが入水されたときに
≪弥生の末のことなので藤がさねの十二単であった・・・≫
とあるのが、古典にでてくる初見、・・・というのが定説であります。


時代により、着付けの仕方に違いがあったり
20枚以上も着重ねて、妍を競いあったり、
長い歴史の間には様々と変遷してきたが、
常に天皇を中心とする皇室、朝廷・・・がその発信源でありました。
そして、言うまでもなく、
世界に冠たる衣装美の極致・・・であり続けている。

手前みそでも何でもなく、
事実上のダントツ、トップの衣装美!!!!。



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あまり、知られてはおりませんが
実は、十二単より上のグレードもあり、
それは、【物具装束】(もののぐしょうぞく)
と呼ばれる十二単の豪華版!!
重要な儀式に
五節の舞などで用いられた事が分かっています。
が、
十二単、ジュウニヒトエ・・・の方が
何倍も楽しい響き!!



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さらに、男性の束帯となるともっと華麗豪華!!
オシドリの雌雄を見る如く、
男性の装束の方がゴージャス・・・
なんですが、
画像をご覧になるかぎり、
そんなこと・・・・知りませんよねぇ、




いずれにせよ、「お方」様・・・達の
・・・・着せられる人のことを「お方」と呼ぶ・・・
のなんと美しいこと・・・
12か月だから舞台に並ぶと
6,7月がセンターに・・・・

ずいぶんと鼻の下が伸びる筆者でありました。







posted by 絵師天山 at 15:23| Comment(0) | 装束 

2015年06月27日

続々 “かさねの色目”


かぐや姫様は、
実は・・・・・・・
奈良時代に実在されていた御方。で・・・
つまり十二単を
身に付けられたことはなかった・・・のです。
十二単が生まれたのは平安時代だから
・・・有り得ない・・

従って、十二単を着たかぐや姫を描くと
嘘!・・・・になる。
史実に反した創作は歴史画とは言えない・・
ならば、残念ながら拙作などは
真実の創作とは言えないのかも知れません。


しかし
奈良時代はどんな服飾であったのか、は
実はハッキリしていません。

古墳の壁画などに描かれている衣装がそれで・・・
と学問的にはなっていて、高松塚こそ!と
言い張る学者様も居られるけれど
・・・・誰にも確証はなく、あれは、
おそらくは外来人、渡来人の衣装を描いたものに違いなく
それを奈良時代の衣装と決めつけているだけでありましょう。

奈良時代の遺物そのものが僅かにしか残っておらず
平安時代の厖大な資料からすれば不思議なくらいに
奈良時代の資料は少ない。
時代が時代だから、かもしれないけれど
もっと他に重大な原因があるに違いありません。

特に文字による資料がなさすぎる

これが、日本には古来文字がなかったとされる定説の原因になっているのですが、
中国様から頂いた漢字をもって日本の文化がようやく花開いた、と決めつけている
現代の皮相なる歴史観はあまりにも幼稚・・・


と深読みすると、奈良時代特有の衣装美だってあった?
のかも知れませんが、
残念、遺された視覚的資料は高松塚しかないので学者方がそう言うのも仕方がありません。

私が高松塚の壁画が渡来人のものと断定するのには
明確な理由があります。
つまり後の十二単が生まれる素地を成していないから・・・

今日でも尚、世界に冠たる十二単

その要素の一つも感じられない、・・・
十二単へと発展的変容するような要素は全くない!・・・
のが高松塚古墳壁画にあるところの衣装だから・・・デス





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これが元になって後に十二単が生まれた・・・
なんて逆立ちしても思えない。
有り得ない・・・・でしょ、素人にも分かります

こんな事は少しの想像力と「人としての普遍性」から類推すれば直ちに誰でも解るはずだが、現実に残っている遺物に囚われ切ってしまっているので、想像の余地がなくなる・・・
つまり西洋式学問だから・・・

日本人はこの点でも大損しているのですが、
話が横道に入り過ぎるので・・・・




★★★★★★★★★★★★★★★★★★



十二単という装束は
肌に近い方から
・・単(ひとえ)
・・五ツ衣(いつつぎぬ)
・・打衣(うちぎぬ)
・・表着(うわぎ)
・・唐衣(からぎぬ)
と、重ね着する。





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下半身には
・・・袴(はかま)、を着け、腰に
・・・裳(も)、を付けて
長い髪の毛が床に直に触れないようにする・・・





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で、≪かさねの色目≫、というのは主に五ツ衣の色をどう重ねるかにある訳です。

五ツ衣はつまり五枚重ね、のことですが、
藤原時代全盛期には五枚が十五枚、二十枚にも膨れ上がった!
けれど、結局は五枚を標準とする様に定まりました。
つまり、十二単は十二枚重ねではなく、
正確には?
九枚・・・くらい

≪かさねの色目≫

同じ色の濃淡で下から上へ順次濃くかさねてゆくものを、
匂(におい)

匂(におい)式の一種で下部二枚を白とするものを、
薄様(うすよう)

以下
・・・同じ色を五枚かさねるもの、
・・・二種類の色を濃淡でかさねるもの、
・・・全部ばらばらの色
等々幾通りか大別され、
平安時代に定まったものが多いけれど
呼び名やかさね方は厳密には統一されていない場合も・・・、
典型的な松重(まつがさね)などは、
四季を通じて着ても良いことになっているけれど、
類型もあって、
決定版はないんだが、
大きく外れている事もなく、
統一されてはいないけれど共通項は必ずある。
まして季節にあった装いとしてのかさねの色目という
厳密な決まりの上にヴァリエーションを楽しむ、
というスタイルだったのです。


一番上に着る唐衣、オミゴロモ、とも言いますが、
これが一番露出面積が広く、
次いで表着と一番肌に近い単、
その下の袴が広く
かさねの色目としての五ツ衣が一番狭い


露出面積は一番狭いけれども
“全体の感じ”にとっては
五ツ衣こそ
最も強い影響力がある訳で、
こんな奥ゆかしい美意識に基づいた
衣装美はまずあり得ない。
つまるところ
自他共に認める

世界最高峰の十二単

その衣装美の核心は

≪かさねの色目≫
そのものである、

と言えるのであります。








posted by 絵師天山 at 22:34| Comment(5) | 装束 

2015年06月17日

続“かさねの色目”


現代の和服だってそれは立派な
世界に冠たる衣装美。


振袖も紋付き袴も、人目を引く
圧倒的存在感があるし、


燕尾服で固めても・・・・実は、
和服の正装の方が似合うのは
日本人として当然のことでありましょう。

和服文化も残念、
日常から切り離してしまって
ネクタイに背広・・・
似合いもしないのに、
ミリタリールックに惚れるのは
洋の東西を問わない・・とばかり、
スーツ姿が和服を凌駕してしまったのですが、
日本人としては実に惜しい、
コチラの欧米化も根が深く、日本人は
ずいぶんと損している訳ですね。


和服の原点である装束に至っては
神社の神官、雅楽、相撲などにその一部が使われ
そして本格的には御皇室にのみ遺され
日常どころか、殆ど着用した一般人はいない?
くらいに、滅んでしまいそう・・・・だけれど、
その存在感は和服をはるかに凌駕するものであり
この衣装に驚愕しない人は
世界中探しても一人もいない!!・・・くらいの
それはそれは高いレベルの衣装美なのであります。









コチラがいわゆる【梅襲】(うめがさね)


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実に美しいものです・・・・



       
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『襲』の色目(かさねのいろめ)の典型ですね
一枚一枚の衣も美しいがそれを着重ねして
その配色を思いきり楽しむ。

楽しむ為には
配色を考え、整え、創意工夫を凝らしに凝らす・・・



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如何ですか?
時間をかけて普遍性を求めた素晴らしい配色

『襲』の色目(かさねのいろめ)そのものが
最高の芸術品なんです。





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       高円宮憲仁親王殿下




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       高円宮妃





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      秋篠宮文仁親王殿下




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      秋篠宮妃






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             今上陛下、皇后陛下











紅の薄様
くれないのうすよう・・・

紫の薄様
むらさきのうすよう・・・・

紅梅の匂
こうばいのにおい・・・・



なんと雅なことでしょう、
日本の風土、季節を楽しむのに
これ以上の方法がありましょうか・・・








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              かぐや姫











 
posted by 絵師天山 at 12:50| Comment(2) | 装束 

2015年06月12日

かさねの色目


“かさねの色目”


久しぶりに衣冠束帯や十二単を代表とする装束について
語ろうと思います。
このところなかなかに忙しく、
ブログを更新する余裕が・・
でもこういう時こそ
新鮮な世界に入り込んで行かないと、
次なる創作の原動力は生まれない。
創作は、まずは気迫  ・・が肝心ですから・・・
意欲的に学び、新たなる創作に繋がれば・・・と、
どうぞお付き合いください・・

★★★★★

“かさねの色目”と、言うのは何か?と申しますと
元々は
一枚の袷(あわせ)仕立ての衣(きぬ)の裏表
・・・のあわせ色のこと。

色の配合の妙を楽しみ、透けて見える裏地の色と表地の色とを重ね合わせて季節感やTPOを追究したので・・
それを『重ね』・・・と言い、
後には、
その衣(きぬ)を幾重にも着装して表される衣色の配合も

“かさねの色目” と呼ぶ様になりました。
コチラは、『襲』の色目(かさねのいろめ)・・・と言う。

いわゆる十二単の十二枚が一枚づつ裏表の衣になっていて
さらにその十二枚の色合い、並べ方にあらゆる工夫が凝らされている事を云うのです。
ホントは十二枚も重ねる事はありませんで、5枚だったり7枚だったり、
季節によっても、場によっても、時によっても、違えることを楽しんだ訳です。ね。


現代人のコーディネートと似たような感覚でしょうか・・・・?!。

が、現代のコーディネートと違うのは
決まり事が明確にあった、と言うところで
代表的なかさねの色目はおよそ120種類
それに準じて個人の好みやら、先輩の指導等で
さらなるヴァリエーションが・・・


何枚もかさねるのではさぞ重たかったでしょう・・?!
と言われる向きもあろうかと思いますが、いえいえ、
シルク!!、
ホンモノの絹は、雲の様に?
軽い・・・ので全然快適!
湿気が多い時でも適宜に吸い取ってくれるし
寒くても温かくいられるし
暑くても涼しい顔をしてられるのが正絹さま・・・・

かく言う私も衣冠束帯を着けてもらった経験がありまして
本格的なモノとは言えないまでも正絹だったので・・・
それはそれは超快適でありました。


もともと偉そうな風貌なので余計に偉そうに見えましたが・・・



          
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重ねの色目・襲の色目(かさねのいろめ)

平安時代の服飾文化は有史このかた最高峰であるというのは定説。
成人式の振り袖も霞む・・し、
どんな立派な民族衣装にも絶対負けないスバラシサ
圧倒的存在感!!


社会的上層階級の文化の様に思われがちですがですが
下層庶民がその資を提供しなければ成り立たなかった、
のですから、総体としての日本文化そのもの、やはり、
日本人は偉い!凄い!


高貴(あて)・雅(みやび)に相応しい生地の質、色彩が施され
袷仕立ての衣では、表地と裏からチラリと覗く裏地との色彩の調和に気を配り
衣色の配色、かさね方に心を砕き・・・腐心する・・・
重ねの色目・襲の色目双方共に確固たるセンスと鑑識眼が必要であり
さらには
お手紙用の草木染め和紙の色目取り扱いまで
それはそれは、ヤカマシク要求されたのです。


宮廷での
晴(ハレ)=公。

褻(ケ)=平常。

に合わせ
総合的複合的明確なる基礎知識は必須であって
殊に女房社会では和歌の素養と共に
この素養のないものは仲間入りさせてもらえなかった・・・





続く・・・




posted by 絵師天山 at 13:29| Comment(0) | 装束 

2011年06月21日

黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)


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 黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)とは、天皇陛下が重要な儀式の際に着用する御束帯、装束の袍のことです。



 この名前は染めてある色名からであり、「黄櫨染」とは黄色の中に赤色を混ぜた染め色で今の黄土色に近い色。



 黄櫨染は真昼の太陽の色を象徴したものでもあり、天皇以外決して使用することができない色であり、当然【絶対禁色】であります。



 《日本紀略》によれば、弘仁11年(820年)2月、嵯峨天皇の詔により、黄櫨染は、天皇だけが即位の大礼や大嘗祭など、重要な儀式の際にのみ着用できる第一礼装となり、以来、歴代天皇陛下だけに許される最も厳格な絶対禁色と定められて来ました。



 紋様は「桐」「竹」「鳳凰」「麒麟」の4種類。



 黄櫨染の表面は、太陽の光を浴びることにより金茶色から赤茶色へと色味が変化すると言う、耀変性(ようへんせい)が備わっていて、赤茶色の光沢があり、さながら宝石のような神秘的な輝きを帯びているのです。



 それが、太陽の染め物といわれる所以であり、さらに又、黄櫨染に光を透過させると、その内側には茜色、太陽の色が浮かび上がります。



 紅花から採集される大変貴重な口紅。

唇に薄く塗り重ねる事により、ナント遂には紅色が光沢を帯び,しまいには緑光りする!と言う摩訶不思議さにちょっと似ているのかもしれません。



 表面的な華々しい色を誇示するのではなく、全宇宙のエネルギー源ともいえる太陽の神々しさを、衣の内側にひっそりと宿すという、恐ろしいまでの謙遜性と神秘性は、日本人の深い感性そのものと言えるのではないでしょうか。



 黄櫨染の染色材料は櫨(はぜ)・蘇芳(すおう)、紫根(しこん)の三種類。媒染材は、酢と木灰。


この染こそ日本発祥の染であり、日本が世界に誇れる独自の染であります。



 草木染は、実に奥の深い日本固有の伝統文化でありましょう。

それはそれは美しいもの、十二単の美を支えているのです。


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  伊勢神宮内宮にて、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)をお召しになられ、儀式に望まれる天皇陛下。





 

 

  【十二単の世界】展、四季を飾る「かさね」の美

 明治神宮宝物殿開館九十年記念展 

 は、7月3日まで。

 明治神宮文化館宝物展示室で開催されています。



 御皇室伝来の装束、十二単の究極の美で埋め尽くされていま   

 す。素晴らしい展覧会ですよ! 花菖蒲も満開!!!









posted by 絵師天山 at 09:23| Comment(4) | 装束 

2011年06月17日

京都、奥嵯峨の蛍


  うっとうしい梅雨。静まり返った雨模様が続きます。

 源氏物語54帖すべてを絵画化すべく努力も続けていますが、なんといっても、京都へ、イメージを貰いに折々に伺っています。今回は嵯峨、上賀茂神社、平安神宮など。

 十二単を着て、背景がぴったりするのは上賀茂神社です。

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 こんな、背景も似合いますが、これは平安神宮の庭園。春には、枝垂桜が満開となり、観光者の行列が出来るところ。

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奥のお庭に、半夏生(はんげしょう)が、盛りでした。

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そして、
蛍。これは、【こい茶屋】、という、京料理のお店。夕暮れからかなり遅くまで、源氏蛍の演舞が続きます。

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 帰りに寄ったのが京都伝統工芸館。京都博物館の近く、お土産やさんも付属していて、京都ならではの巧みの技が沢山。十二単をゆっくり見ることも出来ました。


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何れも、クリックしてご覧下さい。

はんなりとしてしまいますよ。








posted by 絵師天山 at 22:46| Comment(0) | 装束 

2011年06月08日

装束の魅力


  日本画と共に、 日本文化を語ろうとするとき、必ず見逃せないのが装束。

 衣食住と言う通り、必ず真っ先に出てくるのが衣装です。

  

 勿論振袖も日本の衣装としての代表と思われますが、それは上辺の事。



平安時代に確立された、といわれている十二単、と総称される装束こそ日本文化の真髄ですね。





 私が装束に興味を持ったのは、源氏物語の絵を連作しようと意図してから。随分研究しましたが、まだまだ、面白さの核心には程遠いですが。



 先ず、私が、これまでに参考とし、教科書のように学んでいる本をご紹介しましょう。



 (株)オクターブ  【十二単のはなし】  現代の皇室の装い

             仙石宗久 著



 誠文堂新光社   【素晴らしい装束の世界】  

            いまに生きる千年のファッション   

             八条忠基 著



 京都書院   【かさねの色目】  平安の美裳

             長崎盛輝 著





 【十二単のはなし】 が、特にお勧めです。

高倉流の本流が、格調高く解説されていて、奥深いことも分かりやすく理解できます。  

【素晴らしい装束の世界】は、とっつきやすさが楽しい本。

【かさねの色目】は、ちょっと、本格的。かさねを楽しんできた平安人の美意識を深く知ることが出来ます。



  天皇陛下、皇太子様、のご装束姿をご覧下されば、日本文化の真髄が、誰にでも感じられることでしょう。




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posted by 絵師天山 at 07:21| Comment(0) | 装束 

2011年06月06日

朝日の色 日本の色

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  黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)







前回、福島県の駒止湿原の、アサヒランをご紹介しましたが、本名が沢蘭と言うのに、朝日のような鮮やかさの故か、アサヒランと呼ぶ人のほうが断然多い。



日本人の朝日に対する思い入れを感じさせますね。



日本の色は、複雑で独特。その名も、奥床しさに溢れています。



草木染から来る独自性も欠かせない日本独自の色彩。

日本美の中核に違いありません。藍、紅、を代表とする草木染は自然そのものの色。生成りの純白を染めてゆくところから日本文化の真髄が始まっているのです。



装束での朝日の色は、【黄丹(おうに)】。



昇り行く朝日の色、とされ、皇太子殿下の束帯の色。無論禁色であります。



天皇陛下の御束帯の、黄櫨染(こうろぜん)は、中天にかかる太陽の色とされています。



なんと、凄い文化!! ではありませんか。


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黄丹の袍(おうにのほう)








posted by 絵師天山 at 22:28| Comment(4) | 装束 

2011年05月22日

十二単の世界展を見て

 先日、明治神宮文化館 宝物展示室に於ける、《十二単の世界》展を拝見してきました。
 草木染100パーセントで染められたシルク素材ですから、場内を極端に暗くしてあります。ご承知の方もおられるかもしれませんが、草木染は、日光を浴びると退色してしまうんです。電気の光によっても・・・、繊細この上ないモノ。

 常若《とこわか》、いつも新しい事が、一番の価値。草木染の絹を、何回も使うなんて野暮な事はしないのがホントの文化。贅沢なものでありますが、時と共に退色する美を惜しみながら、次なる新しさを生んでゆくことこそ日本の美であります。宮中のカシコどころ、、、。奥の又奥、に居住まいする姫君達のご衣裳が、五つ衣、唐衣、裳、・・・、いわゆる十二単という、日本伝統の装束です。

 
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  東京国立博物館所蔵の女房装束


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重ねの色目


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 重ねの色目  色重ねの典型的な例あれこれ    クリックして拡大して下さい。





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所謂、十二単



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ご即位の礼 皇后様のご装束





 透き通るような絹の美しさ、草木染で染められた絹を重ねると、色々な季節感、着る人の美意識などが、様々に表現されます。重ねる事で生まれる美を楽しむ。極上の文化を日本人は生み、慈しみ育んできたのでした。

 今に伝わる数少ない日本そのもの。

 数年前、某有名女優の婚礼で、十二単が用いられ、世間一般の認知を随分得ましたが、この素晴らしさを、知る人ぞ知るの世界にとどめ置いていては実に、もったいない。是非、外交にも普段にも、多くの人があらゆる場所で、色んな取り入れ方をして、日本文化の真髄を味わって欲しいと思います。

 暗くした場内の入り口には、暗くしてある事の理由と、静かにこちらに座って、時を過ごされると、目が慣れて、繊細な草木染の真髄を感じる事が出来ます。と、解説が。

 十二単アラカルトを時々語りましょう。

 ちなみに、この展覧会は7月3日まで。 明治神宮内、です。





posted by 絵師天山 at 20:08| Comment(4) | 装束