2014年06月03日

魅惑の春草 @



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    【黒き猫】  菱田春草の代表作





この秋、東京国立近代美術館で、

菱田春草展が開催される事は既にお知らせいたしました。

没後100年を記念しての、大々的なる春草展であり、

大いに期待して良いでしょう!!

日本文化の精粋が、集約されるのですから、

日本らしさを取り戻そうと言う昨今のマインドにも合致して・・・

タイムリーな展覧会だ、と大変喜ばしく思い、皆様にお勧めします。


ダヴィンチもピカソもとうてい・・・・その足元にも及ばない・・・

日本の大天才の作品群が勢ぞろい!!!!



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コチラが菱田春草の肖像写真です・・・・・

盟友大観を伴って外遊した折、女性と間違われて閉口した・・とされる程の端正な美男。




百人一首の魅力としての連載に並行して、

今月からは春草の魅力についても大いに語って参ります、

どうぞお付き合いください。




いずれ、国宝指定も当然であろうとされる代表作 【落葉】・・・・

実は・・・同画題で描かれた作品は数点ありまして、

コチラは、失敗作・・・・?

いえ、途中で方針を変えて、改めて作画したので

途中放棄された【落葉】の屏風、部分であります。



IMG_1748.JPG

 


ご覧のように、背景に丘?  のような・・・ドハ?

地面の起伏が薄く描かれていますね・・・・遠近を表現しようとして・・


クリックして拡大してみてください。

これが、描き直し完成された重要文化財指定の屏風 【落葉】になると、

・・・・ドハは完全に消され、地面の説明は一切無くなり

文字通り落ちている落ち葉だけが克明に描き込まれています。


つまり地面の遠近の説明は一切省いて、落ちている落葉を描くことによって

観者は地面を想起する・・・だけ。

描いている方が説明を省くと、観ている方はそれを補う。



説明をしない方が却って夢が生まれやすい。

見る者の想像に任せる・・・



事象や現象、にとらわれ、実在から離れら切れないと

物事の説明がウルサク・・・、その分ファンタジーは消えてなくなる・・・ 


日本的な造形原理がここに明示されているのであります


現代の日本人は、レオナルドダヴィンチほどの写実性には、

やみくもに憧れ、・・・・・

眼もくらむような映像世界に浸りきっているので、

≪写真的な実像≫には必要以上に関心を示し、敏感に反応するが、


省略と誇張とを駆使して、見る目に心地よい美観を生み出そうと

イワユル【余白の美】概念・・・・

に従ってきた日本本来の造形美がわからない。



老いも若きも、カメラ的実在映像に振り回されている時代。


が、

こんな時代でも、【落葉】作品を見れば、その美しさに驚愕せざるをえない。




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肝心なところは、生命そのものをつぶさに感じられるほどの

優れた描写を忘れない・・・・・

誇張すべきものと省略すべきものを、しっかり

わきまえて、自由自在に取捨選択し、美しさに変える・・・・・その力。




夭折の大天才、菱田春草。


鳥も、動物も、大地も、歴史も・・・・

すべて描きつくしたその享年は、なんと37歳・・・でした・・・




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posted by 絵師天山 at 16:47| Comment(0) | 菱田春草
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