2014年05月02日

魅惑の百人一首A


  【持統天皇】 じとうてんのう

春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天のかぐ山

  はるすぎてなつきにけらししろたえのころもほすちょうあめのかぐやま






            IMG_0948.JPG







持統天皇は天智天皇の皇女であり、天武天皇の皇后さまとなり、

夫帝没後、第41代天皇となられ、御在位八年の後、御位を皇子

文武天皇に譲られます。

実は、・・・・・・

女帝登場・・の時代は、何れも皇統断絶など、かなり込み入った

難しい状況がありましたようで、・・・

遷都を重ねたこともその現れであろうと拝察されます。

果たして御即位の後、藤原京に遷って女帝持統天皇の御心は

安らかでありましたでしょうか????

天智天皇の勅を戴いて、伊勢神宮式年遷宮の儀が定められ

第一回遷宮が行われたのは持統天皇の御代のこと・・・・


天照大神の岩戸隠れ神話に登場する真榊は、

天香具山から掘り起こした・・・と、古事記にあり、

又は、天の羽衣伝説との関連も有りますようで・・・

天香具山は、大和三山の中でも重要なる祭祀の場であったらしいのです。

従って、『白妙の衣』・・・とは、何を指しているのか?

諸説あり、言葉通り、とすれば洗濯物の光景?

かも知れませんが、もっと深い言外の意味がありそうなのは

誰も感じるところであります。

百人一首の冒頭が天智天皇の御製で、第二番目が、この御製。

おそらくペア扱いであり、策定した定家の創意がここに看て取れる。





青い空にたなびく白、という鮮烈な色彩の対比が初夏の薫風を感じさせ、

広々としておおらかな印象を与えてくれ・・・・・

幼子が、その明快さ故に覚えるのに良い和歌で、・・・

実際私など、「ソランジル事の出来る百人一首の数少ない一首」であります。

壬申の乱をくぐりぬけ、女帝として御即位された持統天皇が

父帝天智天皇、夫帝天武天皇、を偲びつつ

新しい御代にご自身がお立ちになられた!

という決意の様なものも見え隠れしているのでしょう・・・


何れにせよ天香久山という麗しい山名の持つ床しさが読み込まれていること

に特別の思いが湧いてくるのではないでしょうか。

万葉集の秀歌の代表と言える程に人口に膾炙された御製であります。







posted by 絵師天山 at 02:00| Comment(0) | 百人一首
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: