2012年01月12日

なぜ、伊勢神宮奉納へ? 続き  『遺言』

 
 遺言のような師匠の示唆に添うべく、

 “人物画を描き、追求してゆく事”に抵抗はないものの、男性を描くのはイヤ!!

 『男』は、面白くありません。

 日本人に人気のフィギュアスケート競技。
 私は、悪いけど、男子の演技なんか見たくもありませんし、男性向きのスポーツ女性向きのスポーツが、あると、思うし、いくら素晴らしい活躍でも、男子が氷の上でくるくる回ったところで、一体どう なる???

 もっと云うと、バレーダンサー。
 高く何度も、素晴らしい跳躍を見せられても、少しも嬉しくありません。男はいらぬ。

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 そんな訳で、人物画を極める。・・・・・残りの人生を掛けて、頂点を目指そう!!と言う意識にはなったものの、現実にいる人を肖像画的に描くのではつまらないし、現代生活のワンシーンを取り出したところで、写真や映像にかなうとも思われないし、第一男は描きたくなし、女も好みがあるし・・・・。

 人物像を駆使して、人生のあらゆる喜怒哀楽なり、人情ナリ、人間の本質、この世界の不思議・・等々を描くのでなければ、つまらない。

 

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【古事記(ふることふみ)】第94回再興院展出品作品 部分




 そんなこんなで、歴史人物にファンタジーを求めれば、良いのでは?と考え、ちょうど、その頃友人に勧められた講演会の録音テープ、・・・当時はカセットテープですから・・・が、小林秀雄。

 『本居宣長』、という著書を出版した直後の講演会と言う事で、だいぶ以前のもののようでした。
が、本居宣長が、日本を代表する碩学であることには、昔から関心があり、興味深々。

 その小林秀雄の著書は蔵書にあり、難しくて、途中でつまらなくなり放ってありましたが、著者の肉声は面白く、中でも、本居宣長が、“源氏物語は、【もののあわれ】を描いた”、ものだ。そして・・・・生涯賭けて源氏物語の講釈を門人に語り続けていた、・・・・・。と。


 この時には、まだ有名な【古事記伝】には、関心が向かず、あの立派であるとされる、本居宣長が、終生、源氏物語を楽しんだ、という新鮮な事実の方に驚いたのです、そして・・・・。

 【あわれ】、というのは、≪あっ!あれ!≫・・・が約まって、【あわれ】、となった。
というのです。 これは、絵心もまた同じ。あっ!あれ!あれ!・・・です。

 なーるほど!! これは、・・・・・・・ちょっと心に残りました。

 若い頃から、源氏物語は一度読んでみたいと思ってましたので、これをきっかけに、手近にあった円地源氏を通読。なるほど、これは、・・・・面白い。

 円地文子の訳文でも、全十巻の大作ですからボリューム充分。
が、ちっとも苦痛でないばかりか、愉快に、一気に読了しました。

 勿論、印象に残る、シーンを絵画化するつもりで。・・・・

 読んだのが冬。年が明ければ春の院展制作の準備を始めるのですが、予定しておいた構想を後回しにして、急遽、一番描きたいシーンを、・・・源氏物語絵を描いてみよう!!
と、決意するほど、楽しい体験だったのです。

 院展の作家は、春の院展で一年が始まり、試作して、秋の本展で高みをめざし、それが終わったら、次の年の春に向かって・・・・と、継続的な心の準備を習慣としており、二三年先のヴィジョンさえあるので、テーマごと急遽変更するというのは結構冒険なんですね。

 しかし、魅せられた私は、源氏オタクに・・・・与謝野晶子や、芥川、岩波の原文・・・・次々読み漁って、中でも気に入ったのは田辺聖子と、円地文子。 瀬戸内某・・似非ボウズのは、ハナカラ読もうとも思いませんでしたが・・・・。


 私には、人よりも誇大なる妄想癖があるのでしょう、描きたいシーンが次々想像され、フクらみ、テーマが続々・・・・・。そして、選びに選んだのが、【蛍】。

 ちょうど、源氏物語1000年という節目が二三年後です。と、たまに話題となる頃でした。

 昔から描き綴られてきた源氏絵にも、当然関心が湧いて参ります。持てる資料をかき集め、妄想を構想に換えて、泥縄式に作り出したのがこの作品でした。



  http://takahashi-hidetoshi.com/  ホームページ冒頭に使っている、上下二段の作品
                      絵と、詞書とをミックスした変わった作品です。
                      (現れるタイトルの背景画)
                






以下続く














 
 
 
posted by 絵師天山 at 21:28| Comment(0) | 古事記1300年
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