2011年06月21日

黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)


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 黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)とは、天皇陛下が重要な儀式の際に着用する御束帯、装束の袍のことです。



 この名前は染めてある色名からであり、「黄櫨染」とは黄色の中に赤色を混ぜた染め色で今の黄土色に近い色。



 黄櫨染は真昼の太陽の色を象徴したものでもあり、天皇以外決して使用することができない色であり、当然【絶対禁色】であります。



 《日本紀略》によれば、弘仁11年(820年)2月、嵯峨天皇の詔により、黄櫨染は、天皇だけが即位の大礼や大嘗祭など、重要な儀式の際にのみ着用できる第一礼装となり、以来、歴代天皇陛下だけに許される最も厳格な絶対禁色と定められて来ました。



 紋様は「桐」「竹」「鳳凰」「麒麟」の4種類。



 黄櫨染の表面は、太陽の光を浴びることにより金茶色から赤茶色へと色味が変化すると言う、耀変性(ようへんせい)が備わっていて、赤茶色の光沢があり、さながら宝石のような神秘的な輝きを帯びているのです。



 それが、太陽の染め物といわれる所以であり、さらに又、黄櫨染に光を透過させると、その内側には茜色、太陽の色が浮かび上がります。



 紅花から採集される大変貴重な口紅。

唇に薄く塗り重ねる事により、ナント遂には紅色が光沢を帯び,しまいには緑光りする!と言う摩訶不思議さにちょっと似ているのかもしれません。



 表面的な華々しい色を誇示するのではなく、全宇宙のエネルギー源ともいえる太陽の神々しさを、衣の内側にひっそりと宿すという、恐ろしいまでの謙遜性と神秘性は、日本人の深い感性そのものと言えるのではないでしょうか。



 黄櫨染の染色材料は櫨(はぜ)・蘇芳(すおう)、紫根(しこん)の三種類。媒染材は、酢と木灰。


この染こそ日本発祥の染であり、日本が世界に誇れる独自の染であります。



 草木染は、実に奥の深い日本固有の伝統文化でありましょう。

それはそれは美しいもの、十二単の美を支えているのです。


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  伊勢神宮内宮にて、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)をお召しになられ、儀式に望まれる天皇陛下。





 

 

  【十二単の世界】展、四季を飾る「かさね」の美

 明治神宮宝物殿開館九十年記念展 

 は、7月3日まで。

 明治神宮文化館宝物展示室で開催されています。



 御皇室伝来の装束、十二単の究極の美で埋め尽くされていま   

 す。素晴らしい展覧会ですよ! 花菖蒲も満開!!!









posted by 絵師天山 at 09:23| Comment(4) | 装束 
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