2011年05月22日

十二単の世界展を見て

 先日、明治神宮文化館 宝物展示室に於ける、《十二単の世界》展を拝見してきました。
 草木染100パーセントで染められたシルク素材ですから、場内を極端に暗くしてあります。ご承知の方もおられるかもしれませんが、草木染は、日光を浴びると退色してしまうんです。電気の光によっても・・・、繊細この上ないモノ。

 常若《とこわか》、いつも新しい事が、一番の価値。草木染の絹を、何回も使うなんて野暮な事はしないのがホントの文化。贅沢なものでありますが、時と共に退色する美を惜しみながら、次なる新しさを生んでゆくことこそ日本の美であります。宮中のカシコどころ、、、。奥の又奥、に居住まいする姫君達のご衣裳が、五つ衣、唐衣、裳、・・・、いわゆる十二単という、日本伝統の装束です。

 
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  東京国立博物館所蔵の女房装束


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重ねの色目


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 重ねの色目  色重ねの典型的な例あれこれ    クリックして拡大して下さい。





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所謂、十二単



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ご即位の礼 皇后様のご装束





 透き通るような絹の美しさ、草木染で染められた絹を重ねると、色々な季節感、着る人の美意識などが、様々に表現されます。重ねる事で生まれる美を楽しむ。極上の文化を日本人は生み、慈しみ育んできたのでした。

 今に伝わる数少ない日本そのもの。

 数年前、某有名女優の婚礼で、十二単が用いられ、世間一般の認知を随分得ましたが、この素晴らしさを、知る人ぞ知るの世界にとどめ置いていては実に、もったいない。是非、外交にも普段にも、多くの人があらゆる場所で、色んな取り入れ方をして、日本文化の真髄を味わって欲しいと思います。

 暗くした場内の入り口には、暗くしてある事の理由と、静かにこちらに座って、時を過ごされると、目が慣れて、繊細な草木染の真髄を感じる事が出来ます。と、解説が。

 十二単アラカルトを時々語りましょう。

 ちなみに、この展覧会は7月3日まで。 明治神宮内、です。





posted by 絵師天山 at 20:08| Comment(4) | 装束 
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