蓬莱というイメージは、普くすべての人々が無意識のうちであれ持っている観念ではないでしょうか?この御目出度い画題で、春草も名作を残しています。
宋元時代の絵画を規範とした時代があったおかげで、シナ風の描き方が礼賛される面があるのは仕方のない事かもしれませんが、この連作の春草は、“山水画”と呼ばれるようなジャンルから遥かに超えてしまっていて、どこにも支那風を感じさせません。この点大観と良く似ています。
支那風が、少しでも入るとシナ下る?事を二人は良く知っていました。もう一つ、宗教臭さ、も又、排除されるべき要素であります。 日本そのものの良さを、そのまま出せば、世界に通用する事を良く知っていたのです。
むしろ、日本らしさに徹底しなければ、絵を描く意味すらない事を実に良くわきまえていたのであります。
現代の画家が、忘れてしまっているのはこのあたり。
蓬莱山は、ユートピア。一説にシナから観た日本のことであって、仙境を例えたもの。
ライフイズ ビューティフル!?
命を与えられた事をしみじみ幸福として受け止められる世界。
見えていても決してたどり着けない仙境、を春草が、現実のものとして、我々に提示してくれているようです。
ちょっと画面が小さくて・・・・・、鶴が飛んでいるのを確認できるでしょうか? 遥か、おおらかに、のどかに鶴が、舞うように大空に飛んでいます。建物のなかには、満ち足りた気持ちの人々が・・・・。
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