2016年05月31日

記念講演 続きの続き

日本画の真髄・・・
と銘打ったコーナーらしからぬ、?
小堀先生の記念講演ご紹介ですけれど
・・・・
実は、大東亜戦争前と後との伝統の断絶こそ
日本文化の致命傷であって、
それは、日本画と称した「マガイモノ」の氾濫・・
にも、直結しており、現在のわれわれは、
少なくとも、淡白で尚且つ深き品位に溢れた大和絵の魅力
を享受できない不幸に晒されているのです。

伝統的日本画らしい日本画の消滅は
単に絵画美術の世界にとどまらず、
日本人の生活全般に大いに影響があり
要するに、良きものを悪しきものによって駆逐させられ
我々日本人は大損させられている、・・・のです。

しかし、それも、自業自得・・・
自ら蒔いた種?
外圧への対応の誤り・・認識不足・・
「知らない」と言う事を知らない愚かさ・・・









小堀先生の記念講演を続けます、






   断絶した精神伝統と今日現在との往復を

ところが、大正教養主義を通過した世代が政界の多数派を成すといふ事態が到来いたしますと、この世代は、もはや「日本外史」を必読の教養として尊重するといふことはいたしません。むしろ、そのやうな書名を聞かされますと、あれは漢文で書かれてゐるから前近代の遺物だと言って軽く見る。前近代を軽蔑し、近代こそわれわれの時代であるといふのが近代主義であります。『憲法義解』を読んでも、統帥権条項の下敷きに頼山陽の思想が深く裏打ちされてゐることには気がつかない、もしくは気が付いても無視してしまひます。


軍縮条約の調印を、天皇の編制大権の干犯だと言ひ立てた鳩山一郎に致しましても、論難の矢面に立った浜口総理大臣に致しましても、一言で言へば、統帥権の思想の沿革を知らない。憲法の条項の文面からのみの解釈しかできません。この事態を説明するのには結局、国民の教養の伝統が断絶した故であると、かう判断するよりほかないわけであります。


日本の知識人といふ集団は、近い過去にかういふ経験をしてゐるのであります。かつこの経験がもたらした失敗を、失敗と認識することが非常に乏しかった。従って、苦い教訓として受け取ってはゐないのであります。統帥権干犯といった暴論が国会を騒がせてゐるときに、これを与党と野党との政治的な争ひの次元で受け止めてゐる。ここに非常に重要な精神史的な問題が潜んでゐることに気付かず、そのままやり過ごしてしまったのです。


かうした安易な姿勢が、昭和二十年秋から七年近く続いた被占領期の、あの日本の文化伝統にとっての開闢以来の最大の危機に際しましても、惰性としてそのまま続いた。或いは戦時中の緊張の期間が過ぎた後、再び頭をもたげたといふ風に見てもよろしいかと思ひます。戦時中は要するに戦時体制といふ非常事態で、政治責任者の一挙手一投足に、国家の命運が懸かってをりますから、さすがに政争に明け暮れしてゐる暇はない、とはいへ、そこに於いても、日本の政界は相変はらず私利私欲、党利党略による政争の絶間はなく、これによる国力の浪費や能率の低下が大東亜戦争の敗因の一つだったと言ってよろしいかと思ひます。これについては、米内光政、井上成美両提督の腹心であった高木惣吉少将も、陸海軍の覇権争ひが日本の戦力をどれほど弱らせてしまったかをよく分析して著書に書いてをります。戦時体制といふものは、どこの国でも輿論(オピニオン)を国政次元で統一しなければならない、それが戦争を勝ち抜くためにどうしても必要といふ要求が生じてきます。日本も同じ様に、全体主義的統制経済に傾いてゐた左翼的新官僚を、何とか操作して国力を保ちつつ終戦までもってきましたが、その左翼的傾向が停戦と同時に、再び頭をもたげてきたといふこともあるのではないなか。つまり、日本の知識人層の心理の相当深くまで浸透してをりましたのが、「普遍性信仰」と「近代主義」であります。これが戦争の終りとともに再び時を得顔に口を利き始めたのであります。


国家主権の回復以来、六十年余が過ぎましたが、われわれ日本人は、今に至るも精神伝統の独立を回復し得てゐない。ではどうすればいいのか。結論は実は簡単であります。われわれの近い過去に生じた精神伝統の断絶といふ精神史の上での深い亀裂がありますが、その亀裂の上に橋を架けること、そして、伝統と今日現在との間の往復を再開することであります。それではその再開はどういふ形をもって行ったらいいのか。その範例をどこか遠くに探す必要は全くございません。身近に、といふより、この身内に、既にわれわれの内部にあります。国民文化研究会の精神運動こそが、まさにそれなのであります。それによって、その精神運動を通じて、断絶してしまった伝統との間の往復を回復しやうではないか。さやうな訴へとお願ひを申しまして、本日は終りとさせて頂きます。






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        筆者作品【火之迦具土神】(院展出品)をご覧になる小堀先生
        この作品は、先生の示唆をいただいて構想したものです。













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posted by 絵師天山 at 11:05| Comment(0) | 日本画の真髄
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