2015年09月29日

魅惑の百人一首 88 皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)


 【皇嘉門院別当】 (こうかもんいんのべっとう)

難波江の蘆のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋わたるべき

   なにわえのあしのかりねのひとよゆえみおつくしてやこいわたるべき





           koukamonin.jpg
            天山書画





「かりね」は、刈り根と仮寝、
「ひとよ」は、一夜と、一節、(節と節との間)
「みをつくし」は、身を尽くしと、澪標(船の航路を示す杭)
に・・・それぞれ掛けられています。


前書に“摂政右大臣の時の家の歌合に≪旅宿逢恋≫といへる恋をよめる”として、この和歌があり、作者は崇徳天皇皇后聖子の女房。太皇太后宮亮源俊隆の娘。皇嘉門院は摂政兼実の姉に当たり、その女房等も兼実邸の歌合に加わっていたのでしょう。

なかなか技巧を凝らした見事な詠ではありませんか!
プロフェッショナルな気配を濃厚に感じます。
江口あたりの遊女の契りに見立てて・・・
仮初の契りが、生涯の傷になるのであろうか?
と仄めかし、艶っぽい心象を醸し出す。


悩み多きご日常を過ごしたであろう崇徳院
・・・さま。そして・・・
その支えとなった皇后聖子サマの暮らしに華やぎを与え
お役目とは言いながら、蔭にあってどれほど御慰め申し上げたことか・・・
一流歌人と言う程の活躍をされては居ないのに
この和歌が百人一首に収められていることからしても、
別当の果たした役割の大きさが想像される処であります。


皇嘉門院サマは保元の乱に於いて、夫である天皇と
実の父が対立すると言う悲運に立たれたのです・・・・。






posted by 絵師天山 at 06:00| Comment(4) | 百人一首
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