2015年09月07日

魅惑の百人一首 82     道因法師


 【道因法師】(どういんほうし)

思いわびさても命はあるものを憂きに堪へぬは涙なりけり

   おもいわびさてもいのちはあるものをうきにたえぬはなみだなりけり






              douin.jpg

               天山書画 




魅惑の百人一首も早82番目!
いよいよこのあたりから真打登場!!
重鎮のオンパレードです。


よくもこれ程厚みのある歌人群が揃いも揃ったり!
平安時代という国風文化の精華は誠に素晴らしいものがあります。

この歌の作者道因法師は、
元の俗名を 藤原敦頼(あつより)と言い
先に登場しました左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)の子
清輔(きよすけ)が主催した尚歯会(高齢の人が集って詩歌などで遊ぶ会)に、
満84歳で出席。さらに、91歳の時には
右大臣家の歌合に参加した、という記録もあり、
なかなかの健胆家・・・ 長寿を得たのですね。

老境に入っても、秀歌を詠ませ給え! 
と住吉様に願掛けしたり、
俊成の夢枕に立って、わが作品を撰集せよ!と迫ったり、・・・
けっこう強烈な爺様だったらしく、この歌もやや自虐的・・・
少々やっかいなネガティヴさをたたえ、
命と生理の相反する処を
若干コミカルに詠いあげています。

千載集の恋の部に入れられており
ツレナイ人を思い侘びれば、いっそのこと死んでしまいたくなるけれど
そうは言ってもなかなかおいそれとは死に切れるものでもなく・・
そのくせ、憂きことあれば涙というものは止められん・・・と
わがままにも??嘆いた・・・のであります、が、
ごもっともな話・・・・
歌道一筋に心を寄せたと伝えられる作者の志の深さは
こんな風な、しみじみとした哀感の滲みだす処?に、
現れているのかもしれません。


友達にすると面倒臭いタイプ、だが、
居なくなるとちょっと淋しくなる・・・・そんな人柄だったのではないか?と思われるのです。








posted by 絵師天山 at 06:00| Comment(2) | 百人一首
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: