2015年08月31日

魅惑の百人一首 79   左京大夫顕輔 (さきょうのだいふあきすけ)


【左京大夫顕輔 】(さきょうのだいふあきすけ)

秋風にたなびく雲の絶え間よりもれいづる月のかげのさやけさ

   あきかぜにたなびくくものたえまよりもれいづるかげのさやけさ





            akisuke.jpg

             天山書画





月の影、と言うと、月の光の事。
さやけさ、とは、清い澄み切った様・・・

秋と言えば、何といっても、月!

名月の季節。

晴れ渡った夜空を行く雲が開け、
間から清くすがすがしい月光が・・・

たなびく雲も月の光に照らされてこそ
その存在が浮かび上がる訳ですね。


実に実に スッキリとした気品あふれる名歌です。
説明の必要がありません。


左京大夫は前にも道雅(みちまさ)の処で出てきましたが、
左京職、左京の庶政を行う役所の長官。
職の長官を大夫(だいふ)と読むのです。


三男坊の藤原顕輔は、二人の兄に家督をお任せして
御自分は和歌の道に専念できたラッキーボーイ!


六条藤家と呼ばれる歌流の基を築いたのでした。

崇徳院(すとくいん)の院宣により詞花集を撰進、
この歌も新古今集秋の部に
「崇徳院に百歌たてまつりけるに・・・」
としてあり、六条歌学は崇徳院の余慶によって成立したのであります。
さやけき月の光とは、悲劇の崇徳院サマのことであるのかも知れません。



六条歌学は俊成定家の御子左家と拮抗・対峙・・、
当時の歌道家が果たした役割は誠に大きいものが・・・





posted by 絵師天山 at 04:00| Comment(3) | 百人一首
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