2015年06月27日

続々 “かさねの色目”


かぐや姫様は、
実は・・・・・・・
奈良時代に実在されていた御方。で・・・
つまり十二単を
身に付けられたことはなかった・・・のです。
十二単が生まれたのは平安時代だから
・・・有り得ない・・

従って、十二単を着たかぐや姫を描くと
嘘!・・・・になる。
史実に反した創作は歴史画とは言えない・・
ならば、残念ながら拙作などは
真実の創作とは言えないのかも知れません。


しかし
奈良時代はどんな服飾であったのか、は
実はハッキリしていません。

古墳の壁画などに描かれている衣装がそれで・・・
と学問的にはなっていて、高松塚こそ!と
言い張る学者様も居られるけれど
・・・・誰にも確証はなく、あれは、
おそらくは外来人、渡来人の衣装を描いたものに違いなく
それを奈良時代の衣装と決めつけているだけでありましょう。

奈良時代の遺物そのものが僅かにしか残っておらず
平安時代の厖大な資料からすれば不思議なくらいに
奈良時代の資料は少ない。
時代が時代だから、かもしれないけれど
もっと他に重大な原因があるに違いありません。

特に文字による資料がなさすぎる

これが、日本には古来文字がなかったとされる定説の原因になっているのですが、
中国様から頂いた漢字をもって日本の文化がようやく花開いた、と決めつけている
現代の皮相なる歴史観はあまりにも幼稚・・・


と深読みすると、奈良時代特有の衣装美だってあった?
のかも知れませんが、
残念、遺された視覚的資料は高松塚しかないので学者方がそう言うのも仕方がありません。

私が高松塚の壁画が渡来人のものと断定するのには
明確な理由があります。
つまり後の十二単が生まれる素地を成していないから・・・

今日でも尚、世界に冠たる十二単

その要素の一つも感じられない、・・・
十二単へと発展的変容するような要素は全くない!・・・
のが高松塚古墳壁画にあるところの衣装だから・・・デス





          takamatu.jpg





これが元になって後に十二単が生まれた・・・
なんて逆立ちしても思えない。
有り得ない・・・・でしょ、素人にも分かります

こんな事は少しの想像力と「人としての普遍性」から類推すれば直ちに誰でも解るはずだが、現実に残っている遺物に囚われ切ってしまっているので、想像の余地がなくなる・・・
つまり西洋式学問だから・・・

日本人はこの点でも大損しているのですが、
話が横道に入り過ぎるので・・・・




★★★★★★★★★★★★★★★★★★



十二単という装束は
肌に近い方から
・・単(ひとえ)
・・五ツ衣(いつつぎぬ)
・・打衣(うちぎぬ)
・・表着(うわぎ)
・・唐衣(からぎぬ)
と、重ね着する。





          syouzoku1.jpg





下半身には
・・・袴(はかま)、を着け、腰に
・・・裳(も)、を付けて
長い髪の毛が床に直に触れないようにする・・・





          syouzoku2.jpg





で、≪かさねの色目≫、というのは主に五ツ衣の色をどう重ねるかにある訳です。

五ツ衣はつまり五枚重ね、のことですが、
藤原時代全盛期には五枚が十五枚、二十枚にも膨れ上がった!
けれど、結局は五枚を標準とする様に定まりました。
つまり、十二単は十二枚重ねではなく、
正確には?
九枚・・・くらい

≪かさねの色目≫

同じ色の濃淡で下から上へ順次濃くかさねてゆくものを、
匂(におい)

匂(におい)式の一種で下部二枚を白とするものを、
薄様(うすよう)

以下
・・・同じ色を五枚かさねるもの、
・・・二種類の色を濃淡でかさねるもの、
・・・全部ばらばらの色
等々幾通りか大別され、
平安時代に定まったものが多いけれど
呼び名やかさね方は厳密には統一されていない場合も・・・、
典型的な松重(まつがさね)などは、
四季を通じて着ても良いことになっているけれど、
類型もあって、
決定版はないんだが、
大きく外れている事もなく、
統一されてはいないけれど共通項は必ずある。
まして季節にあった装いとしてのかさねの色目という
厳密な決まりの上にヴァリエーションを楽しむ、
というスタイルだったのです。


一番上に着る唐衣、オミゴロモ、とも言いますが、
これが一番露出面積が広く、
次いで表着と一番肌に近い単、
その下の袴が広く
かさねの色目としての五ツ衣が一番狭い


露出面積は一番狭いけれども
“全体の感じ”にとっては
五ツ衣こそ
最も強い影響力がある訳で、
こんな奥ゆかしい美意識に基づいた
衣装美はまずあり得ない。
つまるところ
自他共に認める

世界最高峰の十二単

その衣装美の核心は

≪かさねの色目≫
そのものである、

と言えるのであります。








posted by 絵師天山 at 22:34| Comment(5) | 装束 
この記事へのコメント
無駄に・・・使いすぎ
Posted by at 2022年10月13日 00:19
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