2015年06月12日

かさねの色目


“かさねの色目”


久しぶりに衣冠束帯や十二単を代表とする装束について
語ろうと思います。
このところなかなかに忙しく、
ブログを更新する余裕が・・
でもこういう時こそ
新鮮な世界に入り込んで行かないと、
次なる創作の原動力は生まれない。
創作は、まずは気迫  ・・が肝心ですから・・・
意欲的に学び、新たなる創作に繋がれば・・・と、
どうぞお付き合いください・・

★★★★★

“かさねの色目”と、言うのは何か?と申しますと
元々は
一枚の袷(あわせ)仕立ての衣(きぬ)の裏表
・・・のあわせ色のこと。

色の配合の妙を楽しみ、透けて見える裏地の色と表地の色とを重ね合わせて季節感やTPOを追究したので・・
それを『重ね』・・・と言い、
後には、
その衣(きぬ)を幾重にも着装して表される衣色の配合も

“かさねの色目” と呼ぶ様になりました。
コチラは、『襲』の色目(かさねのいろめ)・・・と言う。

いわゆる十二単の十二枚が一枚づつ裏表の衣になっていて
さらにその十二枚の色合い、並べ方にあらゆる工夫が凝らされている事を云うのです。
ホントは十二枚も重ねる事はありませんで、5枚だったり7枚だったり、
季節によっても、場によっても、時によっても、違えることを楽しんだ訳です。ね。


現代人のコーディネートと似たような感覚でしょうか・・・・?!。

が、現代のコーディネートと違うのは
決まり事が明確にあった、と言うところで
代表的なかさねの色目はおよそ120種類
それに準じて個人の好みやら、先輩の指導等で
さらなるヴァリエーションが・・・


何枚もかさねるのではさぞ重たかったでしょう・・?!
と言われる向きもあろうかと思いますが、いえいえ、
シルク!!、
ホンモノの絹は、雲の様に?
軽い・・・ので全然快適!
湿気が多い時でも適宜に吸い取ってくれるし
寒くても温かくいられるし
暑くても涼しい顔をしてられるのが正絹さま・・・・

かく言う私も衣冠束帯を着けてもらった経験がありまして
本格的なモノとは言えないまでも正絹だったので・・・
それはそれは超快適でありました。


もともと偉そうな風貌なので余計に偉そうに見えましたが・・・



          
          ikan1.jpg





          ikan2.jpg









重ねの色目・襲の色目(かさねのいろめ)

平安時代の服飾文化は有史このかた最高峰であるというのは定説。
成人式の振り袖も霞む・・し、
どんな立派な民族衣装にも絶対負けないスバラシサ
圧倒的存在感!!


社会的上層階級の文化の様に思われがちですがですが
下層庶民がその資を提供しなければ成り立たなかった、
のですから、総体としての日本文化そのもの、やはり、
日本人は偉い!凄い!


高貴(あて)・雅(みやび)に相応しい生地の質、色彩が施され
袷仕立ての衣では、表地と裏からチラリと覗く裏地との色彩の調和に気を配り
衣色の配色、かさね方に心を砕き・・・腐心する・・・
重ねの色目・襲の色目双方共に確固たるセンスと鑑識眼が必要であり
さらには
お手紙用の草木染め和紙の色目取り扱いまで
それはそれは、ヤカマシク要求されたのです。


宮廷での
晴(ハレ)=公。

褻(ケ)=平常。

に合わせ
総合的複合的明確なる基礎知識は必須であって
殊に女房社会では和歌の素養と共に
この素養のないものは仲間入りさせてもらえなかった・・・





続く・・・




posted by 絵師天山 at 13:29| Comment(0) | 装束 
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