2015年06月01日

魅惑の百人一首 72   祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい)


【祐子内親王家紀伊】(ゆうしないしんのうけのきい)

音にきく高師の浜のあだ浪はかけじや袖の濡れもこそすれ

   おとにきくたかしのはまのあだなみはかけじやそでのぬれもこそすれ





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「浮気ごころで有名なあなたからの言葉は心に掛けますまい!うっかり乗ってしまえば、後にはつれなくされて袖を涙で濡らすハメになりかねませんから・・・・ね」

と、いう意味を

この和歌から読み取ることは

もはや現代人にはムリ 
と言うものでありましょうか?


字儀通りの意味さえピンと来ないし、
何の事をいっているのか良く分からない位ですから、
まして、言外の意味をくみ取れる筈もありません。

けれども、この様に簡単に意訳してもらえれば、
ハハーン、なーるほど!
ちょっと粋だねぇ、・・・・・と感じることは
無理なく現代人にも頷けるはず!


男の口説き心を軽々と跳ね返すような恋愛ごっこは
むしろいつの時代にも共感されるモノ!


この歌が生まれたのは康和4年(1102年)閏五月。
堀河天皇御主催の艶書合(えんしょあわせ)での事。
男が女へ求愛の和歌を贈り
女の返歌を番えた歌合=ケツブミアハセ・・とも言いますが
つまり遊び。ゲーム!

            ・・・・なんでケツ??


始め後朱雀天皇中宮に仕え次に
その第一皇女である祐子内親王殿下にお仕えして、
一宮紀伊
と呼ばれた作者は、紀伊守平重経の妹。

このかへし歌の元になった贈歌は・・・

人しれぬ思ひありその浦風に浪のよるこそいはまほしけれ

   ひとしれぬおもいありそのうらかぜになみのよるこそいはまほしけれ

浦風と共に浪が寄せるように、
あなたへの思いを満たしてください・・・・ーー。

に対する返歌がこの作品です。

だから高師の浜を持って来てあだ浪と言い、
ぬれもこそすれ・・・と答えた。



当意即妙なる冴え!
艶っぽさも極上じゃあないですか!








posted by 絵師天山 at 08:00| Comment(4) | 百人一首
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