2015年05月28日

理想美術館 8   狩野探幽 【源氏物語屏風】


狩野探幽作 【源氏物語屏風】

狩野探幽(かのうたんにゅう) 
という名人は、江戸時代の御方であり、狩野派の最大にして最高のピークを形成したその張本人であり、生きているうちの名声は勿論、亡くなった後の世にさえその名声は轟いており、悔しいくらいメジャーであり続けている・・・まぎれも無き大名人・・・・

私などの野人からすれば、もう嫉妬してしまうくらいの存在なんでありまして、
その行くトコロ可ならざる無き作風は脱帽させられるばかり・・・・
その扱われ方に於いては、羨ましいくらい・・・・。

このお作品【源氏物語屏風】は、天皇陛下のご所有。
いわゆる御物。








        tanyuenji2.jpg










国宝は巷の宝物ですが、御物は御皇室の所蔵であり、別格。
しかも狩野探幽作の【源氏物語屏風】は御物中の御物、!

とされ、なかなか、そう簡単には拝見することさえママならない・・・




        tangennji.jpg




        tanyugennji1.jpg





tanyugennji4.jpg






そもそもここで申し上げている『理想美術館』というのは、
私にとって都合の良い、
自分が満足するための美術館構想でありまして、
・・・・・
自分の作品が、自分の好みにとって、
一番都合のよい手段方法で永遠に保存されてゆくこと
を企図した、大変、手前勝手なる美術館であり、
それ以上でも以下でもない。



が、

自分の誠心誠意、ぎりぎりに精魂込めた作品群がすべて御物に、!!
もし、なるならば、!!
万が一
皇室のご所有に帰するならば
この私の満足の為の美術館構想など
どっちでも宜しい・・・



御物以上の公はありません、

・・・・・・・・
・・・・・・・




        tanyugenji3.jpg
         源氏物語屏風 狩野探幽作六曲一双 部分





ともあれ、
狩野探幽は慶長7年生まれ、
関ヶ原の合戦直後のことですから、
ざっと、その活躍期は、今から400年前。

つまり死後400年間もの長い間
その名作品は時を超え・・
人々に“美しさ”を語り続けて来た訳でありまして
非常に良いとされる作品は

長い間
数多の人の目に触れることによって、
さらにさらに・・・・
・・・益々その真価は浸透し、
誰知らぬものも居なくなる。

いわゆる【人口に膾炙する】
・・・というのはこういうこと
ちょうど400年位・・・・
美術品としては最も周知されやすいピークであるとも言える。

どういうことかと申しますと、
500年以上経た作品は経年劣化が激しくなりますので、
いくら名作品であってもその劣化は止めようがないから、
やつれ方は時が経てば経つほど尋常でなくなるのは当然、
・・・・押しとどめる事は不可能。

データとして遺すことは出来るが
ホンモノが醸し出す魅力には遠く及ばない
オリジナルこそ真実だから


美術はオリジナル以外の価値はナイ
と言いきれる、のであります。


従って、人口に膾炙したころから
決して止められない
モノとしての劣化が始まるのであり

500年以前の大天才による名品が
例え探幽を遥かに勝る!
としても
物としての美しさは遥かに劣る・・・から
ちょうど400年くらい経た名品あたりがまだ
モノとしての美しさを十分留めており、
しかも人口に膾炙され、周知されたので、
その光彩をさらに際立たせている事になるが故に
羨ましい程に高い評価を受けるのであります。

出来たてのほやほやの名品は
ホントに名品であっても
まだ多くの人に知られてはいない・・・
モノとしての新しさは格段だが、
まだまだ認知され方が僅かでしかない訳ですね。

その点で、円山応挙とか尾形光琳とか
狩野探幽あたり、
江戸時代初期の名人達は随分と得をしているのです。

そこへ行くと
巨勢金岡などは、
1000年近い昔の大名人だから
もうモノとしての名作品は一枚も遺されておらず
残念、伝説の巨匠でしかない。

平安時代の貴族の日記にしばしばその名前が登場し、当時のもてはやされ方は半端ない巨匠であるにかかわらずそのオリジナルを楽しむことはもう全く出来ないからであります。

美術品は結局モノ・・だから
いつかは滅ぶ
が、
日本に限って美術品は
モノとして亡び続けたけれど
名人が続出するお国柄故に、
必ずいつの時代にも
もてはやされるべき名品が存在し
名人続出による名品、
モノとしての、オリジナルの美しさ
は、途切れることが無かった。
これからも、
きっと・・・
モノは有限だが、
日本人の美意識には限りが、
無く・・・


それにしても、この屏風はスバラシイ!

平成の源氏物語屏風をこの手でぜひ・・・・










posted by 絵師天山 at 08:00| Comment(5) | 理想美術館
この記事へのコメント
すばらしい。
地方に住んでいるとなかなか美術品をみることができない。ありがとうございます。
Posted by at 2019年10月20日 22:36
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: