2015年04月14日

魅惑の百人一首 61 伊勢大輔(いせのたいふ)

【伊勢大輔】(いせのたいふ)

いにしえの奈良の都の八重桜今日九重に匂ひぬるかな

   いにしえのならのみやこのやえざくらきょうここのえににおいぬるかな






          isenotaifu.jpg
           天山書画






作者伊勢大輔(いせのたいふ)は、
前出、大中臣能宣朝臣(おおなかとみよしのぶあそん)
の孫。

累代の神官。
父輔親(すけちか)も、伊勢神宮の祭主様でありました。
この大中臣家(おおなかとみけ)=伊勢神宮神主の家系は
名歌人を続出させております。

伊勢大輔(いせのたいふ)もまた和泉式部、紫式部、
等、と共に、上東門院=中宮彰子(=道長の娘)、にお仕えしていたのです。


前出 藤原道信朝臣の処で語りました逸話にも登場していましたね、
覚えておられましょうか? 山吹の花のお話・・・

『いみじき和歌の上手』とされた、この貴公子に
上の句を投げ掛けられて、中宮様のお命じに従って即答、
御門(一条院)の覚えもめでたかった・・・・と。

古来宮中に出仕している歌人は超能力者だらけ!

歌聖、柿本人麻呂だってそうでした。ね

別次元の、超がつくエンターテイナーでありました。

この和歌にしても、
前書きに・・・
“一条院の御時奈良の八重桜を人の奉りけるを、そのをり御前に侍りければ、その花を題にて歌よめ、と、おほせごとありければ”・・・としてあり、

しかも、先輩紫式部が今年の新人が今、承ります・・・と
推薦し、道長もそれに合わせて
「今年のニューフェイスはただ者ではありませんぞ!」
と、輪をかけてお上に紹介申し上げた、

その直後・・・万座の期待を背負って
この新人アーテイストは

“今日九重に・・・・・”
とやりおおせた!

『万人感嘆、宮中鼓動す・・・』
形容されたのも当然!
スバラシイ! のひとこと。


新参者としては途方もない大役ですが、
予想をはるかに上回っての鮮烈デヴュー!


中宮様の御返し

“九重に匂ふをみればさくらがり重ねて来る春かとぞ思ふ”


お慶びの御心を伝えておられます。

ヤンヤの喝采をあびて、伊勢大輔(いせのたいふ)、
面目を施し御先祖様にもメデタク御報告が出来たことでありましょう。


平安宮廷の光輝を高く朗らかに詠いあげたこの才気、機智、流麗なる調べ、新参女房の晴れ姿が目に浮かぶ様じゃあありませんか!












posted by 絵師天山 at 14:12| Comment(4) | 百人一首
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