2015年02月14日

魅惑の百人一首 56  【和泉式部】(いずみしきぶ)

【和泉式部】(いずみしきぶ)

あらざらむこの世のほかの思ひ出に今一度の逢ふ事もがな

   あらざらんこのよのほかのおもいでにいまひとたびのあうこともがな





          izumi.jpg
            天山書画





お待たせしました。
ここからは女流歌人が続きます、
或る意味、真打?の登場ですね。
勿論この御方以外にトップはおりません!
御存じ、【和泉式部】(いずみしきぶ)サマ・・・


もうご存じの向きには要らざる解説になりますが、
この和泉式部様は・・・
かの、清少納言も紫式部も昔ながらの小野小町も・・・
みーーーんな蹴散らしてしまう程の、ぶっ飛んだ女!

ナンでありまして、情の豊かさに於いて、この御方の右に出る程の女はそうは居ない・・
筆者などは是非一度この人にはお目に掛かってみたいと熱望しております。


あらざらむ=いなくなってしまうであろう・・・死んだ後?

この世のほか=あの世・・・死後?


この世もあの世も両方を貫いてもさらに思い出として、もう一度逢いたいのよーーー!!!
って、言う意味。


物凄い深さですね。
ホントあり得ないくらいのシツコサ!
粘着系女子!!!!


作者、和泉式部は、はじめ和泉守橘道貞(いずみのかみたちばなのみちさだ)と結婚。
一子、小式部内侍(こしきぶのないし)を産みます。

後、冷泉天皇皇子の為尊親王(ためたかしんのう)、弟敦道親王(あつみちしんのう)との恋を重ね、さらに中宮彰子(ちゅうぐうしょうし)に仕えた上、藤原保昌(やすまさ)と結婚。

その時代に書いた和泉式部日記が今なお、遺されています。

当時百花繚乱と言える数多の女流歌人がそえぞれに個性を発揮し開花していた中、
・・・ダントツブッチギリに情熱的華麗なる人生及び歌風!

ゴシップに事欠かないと言うのはこの御方のこと・・・で、
現代ならもうこの人一人の御蔭で数多のメディアも楽に飯が食える!
ベリースペシャルスキャンダラスガール!・・と言うわけ。


しかし、人に何と云われようと、後ろ指さされようと・・・
心の表出は止められない。


この歌も、病の床で思いついたモノ。
これでも、この御方の作品では地味ーーな方で、
代表作とは言えぬくらい、おとなしい歌。
もっとずっと奔放なのは枚挙に暇がありません。

例えば・・・

黒髪の乱れも知らず打ち伏せば先ずかきやりし人ぞ恋しき

とか・・・

物思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出ずる魂かとぞ見る

とか・・・
ちょっと、ここには出しずらいくらいのエロス爆発で・・

いやはやホント一度お目にかかりたい・・・


いったいどんな美人だったんだろー!!


痛切なる慕情には素直に従う・・・、
命なんかいらないワ!
慕情は生き死にを超えるノヨ!


道長の権勢頂点に達し、
藤原氏の専横に人々が目を背けるような時代・・
良くも悪くも平安文化円熟期に当たり、
昭和のバブルみたいに功罪相交錯しているとは言え、
ともかくも国風文化醸成に和泉式部も一翼を担っていたのは間違いないのであって、
式部の奔放さと時代の要請とがマッチしてこの様な世界が生まれたのでした。

和泉式部の時代は遠い過去の様だけれど、
実はとても身近で、・・・
いつも変わらぬ普遍の人情を
・・・素裸で表出し得た、
そんな歌名人であったのだと思うのです。


絵師天山としては・・
この御方のお姿はぜひ描いてみたい、・・・と思います。
尽きぬ魅力が溢れる和泉式部像を!現代に蘇らす!!・・・












posted by 絵師天山 at 06:00| Comment(4) | 百人一首
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