続けて、絵巻物についてもう少し語ります。
まず、
【春日権現記絵巻】、
東大名誉教授、故秋山光和先生の御著書に、御物中の白眉といえば、春日権現験記絵巻である。との解説があり、しかも『日本絵画史上最も貴重な基準作例であり・・・』とも言われており、この絵巻物こそ、現存する最高峰の絵巻、と言えましょう。
20巻それぞれが、大体10メートル前後、春日大社の女神様を中心に据えた、藤原一門繁栄の証としての絵巻物であり、泰斗秋山先生のお言葉を待つまでもなく、質量ともに第一等の絵巻であります。
もちろんその他にも、
【判大納言絵巻】
【後三年合戦絵巻】
【平治物語絵詞】
【蒙古襲来絵詞】
【信貴山縁起絵巻】
【北野天神縁起絵巻】
【佐竹本三十六歌仙絵巻】
【源氏物語絵巻】
【鳥獣戯画巻】・・・・
戦記文学もの、社寺縁起もの、説話文学もの、
物語文学もの、
歌仙もの、風刺画戯画もの・・・年中行事もの、
六道絵高僧伝などの宗教もの、似絵(にせえ)もの、
お伽草子もの・・・・
そして近代にも、数多の絵巻が、
横山大観先生の【生々流転】、【四時山水】、
小林古径先生の【清姫】
岩橋英遠先生の【道産子追憶の巻】
・・・・・・・・
忘れてはならないのが江戸時代に大量生産した浮世絵師、
岩佐又兵衛の手になる絵巻群でしょうか・・・・
【みちのく絵巻】を描いてみたのは、これら優品の数々に憧れた結果でした。
そして、“日の本絵巻”シリーズとして、連作が始まります。
コチラは“日の本絵巻”【水辺の謳編】


始めに、 風による漣の水面

次いで、鯉の魚影が・・・・・カイツブリの足元に

雨滴に揺れる水面・・・・

下の段、静止した水面に水芭蕉が映り・・・・
華麗なる花菖蒲が咲き競う

花菖蒲から、
天高く青い秋空を映す水面が揺れる・・・・
部分


そして、コチラは“日の本絵巻”【続 水辺の謳編】


続編では、緋鯉がゆらりと泳ぐ・・・

その先に、鴛鴦が・・・

水鳥たちの動きで揺れ動く水面が・・・・
冬、日本は渡りの水鳥で賑わうのです

下の段にはいって・・・・雪解けの琵琶湖、
春の訪れ、過ぎ行く春・・・・・

時は移って、緑爽やかに、湖影を彩る・・・・

やがて、秋が訪れる・・・・
この二点と、他一点が、総理大臣官邸に展示されます。