2014年08月10日

【みちのく絵巻】が展示されています  続

今、公開中の【みちのく絵巻】について・・・



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今春(平成26年)、無事伊勢神宮徴古館に奉納させていただいた【日本神代絵巻】(にほんしんだいえまき)は、

古事記上代編を絵画化し絵巻としてまとめる。というものでした。

第62回伊勢神宮式年遷宮を記念しての制作発表で、

展示会場にお越し下さり、ご覧くださった方は20メートル超という、

その長さ、に一興されたことと存じます。

そして、これは、対絵巻の片方で、

もう一本、同じスケールで【伊勢神宮式年遷宮絵巻】を完成させる!
と言う、私の主張を聞かされた方は、・・・さらに一驚して下さいました。


日本絵画の真骨頂は絵巻物にある。

と、私は考えています。

歴史的作品と呼ばれる日本絵画は、絵巻物が大半を占めているのではないか?

とさえ思っているので、私も絵師として・・・昭和平成の御代を生きる者として、

後代に恥じない絵巻作品をこそ産みたいものだ、と念願しているからです。


人気者になって、売れっ子ともてはやされ、豪華絢爛なる居宅に住まい、

豪奢な生活をして休暇には別荘へ・・・・

儲けさせてあげられる間は、みんなから“先生”“先生”と崇め奉ってもらえる・・・

そんな芸術家さま?、大日本画家様!!?? に興味は・・ない・・・・のです。

ズイブントと・・・偉そうな・・・・とそしられるでしょうが・・・

投機とか錬金術とかに利用される美術には普遍性がありません。

不動産の代わり・・・動産としての財産価値でしかない美術は

本当に人の心を癒しはしない・・・・・のです。



少なくとも、ぜんぜん美しくありません。

換金性優先の美術は、その臭み・・・「高そうな、いかにも金に・・なりそうな」・・・
それ故、美しいとは・・・とても思えない。
一過性の流行りではあるけれど、普遍性には程遠いから、

つまるところ、ちっとも美しくないのであります。


歴史的な日本絵画、例えば、

源氏物語絵巻。


貴族のお嬢様、お姫様、女官たち・・・・そして男たち。

長い間、数多の人々を楽しませ続けてきた

この絵巻物は、平安の絵師の手になるものでありますが、

その作者名すら今は、・・忘却の果て・・・

当時だって、誰が描いたか・・・という関心よりも、

どんなに美しいか、雅の境地へ誘ってくれるのか・・・が一番の問題でありまして

美術は、暮らしの中になくてはならない潤いであって

誰が描いたかに価値があるのではなく、どれほど楽しませてくれるかに本当の価値がある。


日本の文化の本質は西洋のそれとは大いに違っているのです。

国境が隣り合わせで、食うか食われるかの血みどろなる戦いに終始してきた

血塗られた歴史の中で育まれた美術は、

住む土地を捨て、すべてを投げ出してまで逃げなければならない時に

どこへ逃げても換金できる・・・動産・・・・であること。

如何にも高そうで、金になりそうな・・・耳目を驚かす、

それこそが、美術であって

それ以外の価値は必要ない。


でも日本は全く次元を異にしていて、

誰が描こうが、どんなに金になりそうだろうが、高そうだろうが・・・

そんなことよりも、心の底から人生を喜ばせてくれるトキメキをくれるかどうか

そこにしか、価値はなかった。


だから千年に近い時空を越えて遺されてきた源氏物語絵巻の断簡は

誰もが期待する様な、名場面は一つもなくて、

人気のないシーンの所だけがかろうじて伝来された。

奪う様にして源氏物語の世界に没頭した人たちは名場面ほど食い入るように楽しんだ

だから、・・・・名場面ほどやつれて、朽ち果ててしまった・・・・

換金目的ならば、名場面ほど大事に扱われたはず・・・・!!!


奪い合う様にして、楽しみ尽くした・・・

その余り物を、・・・名場面以外の、言わば残り物の場面を・・・

現代人は国宝として大事にしているけれど・・・


それも、悪いことではありませんが、・・・・


もっと大事なのは、新しく同等の価値が生まれて、さらに千年の先の人まで

巻き添えにして人生の醍醐味を謳歌出来るくらいの本物を培うこと。

人生の深い味わい・・・を一人でも多くの人が味わえること。


絵巻物は、その価値を正当に存続させることが非常に難しい為に

正当なる評価もされにくく、遺されるにも難しかった・・・

出し入れするだけでも大変だから・・・・


けれども、それでも、これだけたくさんの文化的普遍性をがっちりと獲得した絵巻物が

日本には伝えられてきた。それは日本独自の素晴らしい価値観であると言いきれる。



私が【日本神代絵巻】を描くにあたって、

その為のプロセスとしてまず始めに試作してみたのが

この、【みちのく絵巻】でした。

現代の会場芸術の中で無理なく絵巻物を楽しめるようにとの発想から
絵巻物を本格的な額装化する・・・・・


勿論その時には、【日本神代絵巻】並びに【伊勢神宮式年遷宮絵巻】を描こう!
という大望は持ち合わせていませんでしたが、

今にして思えば、その萌芽が兆したのであります。




だから、大変苦労しました。



大作一点描くのも大変だが、その大変さを途切れることなく連続させて・・・

矛盾なく絵画として、絵巻として、成り立たせるのには相当な苦心が必要であることを

身をもって体験したのです。






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 雪の深い森のシーンからはじまります。
 次いで、芽吹き。




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 新緑の中に映える滝





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 日本人の、根幹、稲作の開始・・・・背景は鳥海山麓庄内平野での田植ですね





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 下の段に入って、秋の収穫祭。
 秋田県湯沢市、西馬音内の盆踊りです。




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      仲秋の満月が・・・・



 そして、秋は深まってゆく・・・



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  データーに限界がありますので、他の映像でもご覧いただきましょう。




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   康耀堂美術館で公開されています!

  【会 期】 2014年7月26日 (土) − 9月12日 (金)
  【開館時間】 10:00〜17:00(最終入館時間16:30まで)
  【入館料】 一般300円(高大生を含む) ※中学生以下、無料
  【休館日】 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、第4火曜日
  【主 催】 京都造形芸術大学附属康耀堂美術館
  【協 力】 佐鳥電機株式会社






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【日本画の真髄の最新記事】
posted by 絵師天山 at 05:00| Comment(0) | 日本画の真髄
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